歌舞伎の楽しみ方|初心者でも歌舞伎を楽しむための4つのポイント

2016年11月09日

「歌舞伎を1度は観てみたいけど、難しそう……」と歌舞伎デビューに二の足を踏んでいる人はいませんか?実は、歌舞伎はポイントさえ押さえれば初心者でも十分に楽しむことのできる日本の伝統芸能。早速その4つのポイントをご紹介しましょう。

ポイント1:歌舞伎を楽しむための基礎知識

歌舞伎は決して難しいものではありませんが、基礎知識があったほうが理解しやすいことは確かです。まずは歌舞伎の基本を覚えましょう。

●「歌舞伎」という名称の由来は?
江戸時代に庶民の娯楽として人気を呼んだ歌舞伎は「傾く(かぶく)」という言葉に由来します。「傾く」というのは「奇抜で派手な身なりや振る舞いをする」という意味で、このような人々を「かぶき者」と呼びました。やがて、かぶき者に扮装して踊る「かぶき踊り」が生まれ、庶民の間で大人気になりました。これが歌舞伎のルーツです。

●歌舞伎の2大演目「時代物」と「世話物」
歌舞伎の作品には、近年の作品である「新作」と、昔から受け継がれている「古典」がありますが、上演される回数が多いのは圧倒的に古典のほう。古典の演目は、大きく分けると「時代物」と「世話物」があります。

「時代物」は、江戸時代よりも古い時代を扱った作品で、室町・鎌倉・平安時代の武家社会、合戦などの題材を江戸時代ならではの味つけで描いたものです。

一方「世話物」は、江戸時代の社会や風俗を題材にした作品です。いわば江戸時代の人々にとってはリアルタイムの物語。作中には、長屋の住人・商売人・遊女など、町のどこにでもいるような人々が登場します。

「時代物」と「世話物」どちらを選ぶかは好みの問題もありますが、初心者向きは「世話物」です。テレビドラマの時代劇を見るのと同じような感覚で楽しむことができます。

●歌舞伎ならではの女形
「女形」は、女性を演じる男性役者のこと。「おんながた」または「おやま」と読み、「女方」と書くこともあります。
江戸時代に「風俗的に好ましくない」という理由で女歌舞伎(女性が演じる歌舞伎)が禁止され、すべての役を男性が演じるようなりました。それ以来、歌舞伎ならではの魅力として受け継がれている伝統が「女形」です。

●歌舞伎の公演形態は?
歌舞伎の公演は年間を通して行われ、演目はおよそ1カ月単位で切り替わっていきます。1日の公演は昼と夜の2部制、もしくは3部制。昼と夜では上演される演目も変わりますので、予定を組む前に劇場の公式サイトでプログラムをチェックしてみてください。

ポイント2:ストーリーがわかりやすくなる「劇中のルール」

歌舞伎は江戸の庶民の娯楽。江戸時代の人々の価値観や生活観を知っておくとストーリーがわかりやすくなり、面白さが増します。決まり事として覚えておきましょう。

●人間関係の優先順位
物語の展開にも大きく関わる人間関係には、優先順位があります。それは、親子、夫婦、主従の関係。「主従」は「しゅじゅう」ではなく「しゅうじゅう」と読み、主君と家来の関係のことです。
この3つの人間関係は「親子は一世、夫婦は二世、主従は三世」と表現されます。親子の関係は一世つまりこの世限り、夫婦の関係は来世まで、主従の関係は過去世・今世・来世に渡るまで長く続くということ。
物語の中でこういった人間関係が出てきたら、親子関係よりも長く続く夫婦関係のほうが優先、夫婦関係よりも長く続く主従関係のほうが優先となります。親子よりも主従の関係が優先されるというのは、現代の感覚ではちょっと理解しにくいことかもしれませんが、これが歌舞伎の世界。念頭に置いておきましょう。

●劇中で使われるお金の単位
物語にはお金が絡むエピソードも多く登場するので、江戸時代の金銭価値を知っておくとストーリーを理解しやすくなります。
劇中で使われるお金の単位は「両」「分」「朱」で、「1両=4分=16朱」です。一両が今の時代のいくらに相当するかは一概には言えない面もあるのですが、およそ10万円~20万円。つまり、劇中で「身代金として百両を要求」と出てきたら、1両=10万円の換算で、身代金1000万円を要求ということになるわけです。

●「大向こう」と呼ばれる掛け声
歌舞伎の上演中に「成駒屋!」(なりこまや)などと客席から声が掛かることは、テレビなどでご存知の人もいるのではないでしょうか。この掛け声は「大向こう」と呼ばれ、お芝居を盛り上げる役割を果たします。また、大向こうに役者さんが返答してお芝居が進むというパターンも。それだけタイミングが物を言う大向こうですが、実は女性が声を掛けることはマナー違反。女性同士で観に行かれるときは、注意しましょう。

ポイント3:筋書きやイヤホンガイドを活用しよう

筋書きやイヤホンガイドを活用しよう
物語の内容など予備知識は得たけれど、それだけで本当に楽しめるか不安という人は、筋書きやイヤホンガイドを活用すれば安心です。

●筋書きとは
筋書きは、劇場で販売されているプログラムのことです。詳しいストーリーや役者さんのコメントなどが掲載されているので、観劇の記念として手元に置いてもよいのではないでしょうか。

●イヤホンガイドとは
イヤホンガイドは、物語の設定や見どころ、衣装や音楽、歌舞伎ならではのルールなどを音声で同時解説してくれるものです。歌舞伎初心者の強い味方です。

●それでも不安が募る場合は
筋書きやイヤホンガイドがあることはわかったものの、やはり初めてで不安という場合は、できるだけわかりやすい演目を選んでみてはいかがですか?
例えば、「所作事」(しょさごと)と呼ばれる演目はセリフがない舞踊です。きれいな舞いの動きや豪華絢爛な衣装は、見るだけで楽しいはず。
また、江戸時代よりも現代に近い時期に作られた「新歌舞伎」や「新作歌舞伎」なら、セリフも理解しやすいはずです。

ポイント4:劇場の食べ物を堪能しよう

歌舞伎には「幕間(まくあい)」と呼ばれる休憩時間があります。この時間に食事やおやつを食べることも、歌舞伎ならではの楽しみです。

●充実した劇場の食事を楽しむ
販売されているお弁当を買って客席で食べるもよし、席を離れて気分転換をしたければ食事処を利用するもよし、劇場ならではの味を堪能しましょう。公演によっては、特製のお弁当や食事が出ることもあります。ただし、食事処は予約が必要な場合もあるので、事前に劇場Webサイトのチェックをお忘れなく。

●名物のお菓子やお土産も充実
劇場名物のお菓子や役者さんグッズなど、売店にはお弁当以外のお土産もたくさん並んでいます。お弁当は持参しておやつを劇場で買うという過ごし方も良いですし、お土産を探す楽しみもあります。せっかくの機会ですから、ぜひ売店ものぞいてみてください。

難しく考えずに歌舞伎の扉を開けてみましょう!

ストーリーを理解できなければ歌舞伎を鑑賞する意味がないということはありません。役者さんの動きや衣装を目で楽しむことも、歌舞伎鑑賞の醍醐味のひとつです。難しく考えず、気軽に歌舞伎の扉を開け、その世界に浸ってみませんか?