江戸「五色不動」巡り!目白・目黒など地名になったパワースポットへ

2016年06月20日

東京都内でひそかな人気のパワースポット「五色不動」。名前の通り5つの色の愛称がつけられたお寺のことで、「目白」や「目黒」など現在の地名の由来にもなっています。「私もご利益にあずかりたい!」という人のために、五色不動巡りの楽しみ方をご紹介します。

そもそも五色不動とは?

「五色不動」とはそもそもどんなお寺でしょうか。まずは五色不動の意味と「五色」の由来についてご説明します。

●東京の繁栄を見守ってきた五色不動
五色不動の「五色」とは東西南北に中央を合わせた5つの方角をそれぞれ色で示したものです。また、「不動」とは仏教の信仰対象となっている「不動明王」のことを指しています。
一般的に五色不動といえば東京の五色不動(江戸五色不動)のことを指し、都内には現在も目黄、目赤、目白、目青、目黒の5つの不動尊が計6カ所(目黄だけ2カ所)の寺院に安置されています。
江戸時代に幕府の三代目将軍である徳川家光が、江戸の繁栄を願い、江戸城を取り取り囲む形で5つの不動尊を配置したといわれています。
色の理由は定かでないようですが、風水でもおなじみの「陰陽五行説」(木・火・土・金・水)に由来するという説も。
時の政権を上げてつくったパワースポットというわけです。

不動明王
●不動明王とは?
不動明王とは大日如来の化身といわれている明王のうちのひとつで、宗派を問わずアジアの仏教徒から幅広く信仰されています。
仏教徒によって作られた像はどれも手に剣と縄を持ち、表情は険しく、背には火炎を負っていますが、それは不動明王が大日如来の命を受けて悪をこらしめる使者だからです。
日本には、空海(弘法大師)が中国から不動明王に関する経典を持ち帰ったことがきっかけで伝わったとされています。

1色だけ2カ所がある??「目黄不動尊(永久寺・最勝寺)」

江戸五色不動のうち、目黄不動尊だけは2カ所存在しています。

●目黄不動尊(永久寺)
目黄不動尊である永久寺は、東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅から近い、台東区三ノ輪にあります。江戸時代でいう日光街道(現在の昭和通り)に近く、江戸から日光へと向かう人たちの道中の安全を祈願して、永久寺が目黄不動尊として指定されたのではないかと考えられています。
境内には樹齢千年を超えるといわれる松の木があり、パワースポットと呼ぶにふさわしい場所となっています。

・どんなご利益がある?
永久寺のご本尊である阿弥陀如来(あみだにょらい)には、死後に極楽に行けるという「極楽往生」と現世を安穏に暮らすことができるという「現世安穏」のご利益があります。

・正式名称:養光山金錍院永久寺
・宗派:天台宗
・本尊:阿弥陀如来
・住所:東京都台東区三ノ輪2-14-5
・アクセス:地下鉄日比谷線「三ノ輪駅」北口より徒歩1分
・関連公式サイト:http://www.tendaitokyo.jp/jiinmei/eikyuji/

●目黄不動尊(最勝寺)
もうひとつの目黄不動尊は江戸川区の最勝寺です。慈覚大師(じかくだいし)が860年に創建したといわれている、千年以上もの歴史を持つお寺です。
江戸時代には徳川家光が鷹狩りをする際に立ち寄るなど、将軍からも篤(あつ)く崇拝されていました。
境内にある寺院墓地には、江戸時代に狂歌師・戯作者として活躍した烏亭焉馬(うてい・えんば)や、明治時代の俳人である富田木歩などのお墓があります。

・どんなご利益がある?
最勝寺のご本尊である釈迦如来(しゃかにょらい)には、「仏智悟入」(ぶっちごにゅう)のご利益があり、拝んだ人は悟りを開くことができるとされています。

・正式名称:牛宝山明王院最勝寺
・宗派:天台宗
・本尊:釈迦如来
・住所:東京都江戸川区平井1-25-32
・アクセス:総武線「平井駅」より徒歩12分
・関連公式サイト:http://www.tendaitokyo.jp/jiinmei/saisyouji/

将軍・家光が名付けた「目赤不動尊(南谷寺)」

目赤不動尊である南谷寺は、1615年ごろに万行律師という僧によって開山されました。
初めは今でいう千駄木に寺院が置かれていたのですが、江戸時代中期ごろに現在の本駒込の地に移ったといわれています。
もともとは「赤目不動尊」という名前でしたが、徳川家光がこの寺院を目赤不動尊に指定した際に、名称を変えるように命じたと伝えられています。

・どんなご利益がある?
南谷寺のご本尊は不動明王と阿弥陀如来の二尊で、阿弥陀如来の「極楽往生」「現世安穏」と、不動明王のご利益である「家内安全」「交通安全」「五穀豊穣」「商売繁盛」などを授かれるとされています。

・正式名称:大聖山東朝院南谷寺
・宗派:天台宗
・本尊:目赤不動明王・阿弥陀如来
・住所:東京都文京区本駒込1-20-20
・アクセス:地下鉄南北線「本駒込駅」2番出口より徒歩2分
・関連公式サイト:http://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/kanko/spot/jisha/nankokuji.html

弘法大師の秘仏が安置「目白不動尊(金乗院)」

目白不動尊の金乗院は、五色不動の中で唯一、天台宗以外の宗派に所属する寺院。ご本尊の「断臂不動明王」(だんぴふどうみょうおう)は、弘法大師作と伝えられる秘仏です(「江戸・東京御朱印を求めて歩く札所めぐりガイドブック」より)。もともと目白不動尊の明王像は文京区にある別の寺院に置かれていましたが、1945年の戦災によって建物が消失してしまったため、金乗院へと移されてそこが新しい目白不動尊となりました。
境内にある山門や板碑は、豊島区の有形文化財に指定・登録されています。

・どんなご利益がある?
目白不動尊のご本尊である「断臂不動明王」(だんぴふどうみょうおう)は、太平洋戦争の戦火を免れていることから「厄除け」のほかには「商売繁盛」のご利益もあるとされています。

・正式名称:神霊山金乗院慈眼寺
・宗派:真言宗
・本尊:断臂不動明王
・住所:東京都豊島区高田2-12-39
・アクセス:東京メトロ副都心線「学習院下駅」より徒歩5分

青銅製の不動明王「目青不動尊(教学院)」

目青不動尊の教学院は、1604年(慶長9年)に江戸城内の紅葉山に建てられ、赤坂、青山と何度かの移転を経て、1908年(明治41年)に現在の世田谷区太子堂に移されました。
不動明王像は秘仏ですが、いつでもお参りできる青銅製の前立ち不動明王像が人気です。

・どんなご利益がある?
目青不動尊は「青い空の色を担う不動尊」であることから、天と地をつなぐ「縁結び」のご利益があるといわれています。

・正式名称:竹園山最勝寺教學院(教学院)
・宗派:天台宗
・本尊:阿弥陀如来
・住所:東京都世田谷区太子堂4-15-1
・アクセス:東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋駅」三茶パティオ口より徒歩4分

2017年ご開帳!「目黒不動尊(瀧泉寺)」

目黒不動尊の瀧泉寺は関東最古の不動霊場であり、熊本の「木原不動尊」、千葉の「成田不動尊」と合わせて「日本三大不動」のひとつに挙げられています。
808年に慈覚大師によって開山された千年以上の歴史を持つ寺院であり、明治時代には西郷隆盛や東郷平八郎が篤い信仰を寄せたといわれています。
本尊である目黒不動明王は、12年に一度、酉年にだけご開帳されます。

・どんなご利益がある?
「家内安全」「商売繁盛」「病気平癒」「交通安全」など多くのご利益があるとされますが、特に境内に祀られている愛染明王(あいぜんみょうおう)には「恋愛」「縁結び」「家庭円満」といった女性に嬉しいご利益があるといわれています。
また、愛染明王は「愛欲を否定しない明王」であることから、今でも夜のお仕事をしている女性から篤い信仰が寄せられています。

・正式名称:泰叡山護國院瀧泉寺
・宗派:天台宗
・本尊:目黒不動明王
・住所:〒153-0064 東京都目黒区下目黒3-20-26
・アクセス:東急目黒線「不動前駅」より徒歩12分
・関連公式サイト:http://www.tendaitokyo.jp/jiinmei/6ryusenji/

五色不動巡りで感じるご利益と東京の歴史

何百年にも渡って東京を護り続けてきた五色不動は、訪れる人に江戸の歴史を感じさせる、魅力あふれる観光スポットです。全て都内に位置しておりアクセスは良好。東京近郊の方は何度かに分けて巡っても、ツアーを利用するなどして、一気にお参りしても良いでしょう。