初心者のための登山入門。持ち物・歩き方から関東のおすすめの山まで

2016年08月15日

豊かな自然の中で日常では味わうことのできない達成感を得られます。今回は登山初心者の人のために、役立つ情報をご紹介します。

登山初心者のための「持ち物リスト」

初心者が安心して登山を楽しむのに適した服装や必要な持ち物についてお伝えします。

●登山の服装
・登山靴
初めての登山でも運動靴やスニーカーではなく、長時間歩き続けても疲れにくい「登山靴」を履くようにしましょう。 新しく登山靴を購入する際は、柔らかめで足の形にフィットしたもの を選び、靴擦れの予防として、当日までに「靴ならし 」をしておく必要があります。

・厚手の靴下
靴擦れやケガを防止するために厚手のものを選ぶと良いでしょう。また、汗対策として吸水速乾性や防臭性の高い靴下を履いておくと、快適さが長持ちします。

・インナー
直接肌に触れるインナーは、吸水速乾性の悪いものを選ぶと、汗などで濡れたときに乾きにくく体温を奪われてしまいます。
おすすめは、ポリエステルなどの化学繊維やウールといった乾きやすい素材です。 紫外線や虫から肌を守るために夏でも長袖 を着るようにしましょう 。

・アウター/レインウェア
山の上は地上に比べて気温が低く天候も崩れやすいため、外側に着るアウターウェアは保温性や透湿性が高く、水を弾くものを選びましょう。
アウターにもいくつかの種類がありますが、 夏の登山には撥水性に優れて生地が薄い「レインウェア」で代用することも おすすめです。

・帽子
紫外線や寒さ、ケガから頭を守るために帽子も用意しておきましょう。
帽子は大きい「つば」が付いているタイプを選ぶと、紫外線から顔を守れる上に雨が降ったときでも視界を確保することができます。

・サングラス
高地は低地に比べて紫外線が強いので、季節や当日の天気に関係なくサングラスを用意しておいたほうが良いでしょう。
サングラスは紫外線対策だけでなく、砂やホコリから目を守ることにも役立ちます。

・手袋
寒さによる手先の体温低下やケガを防止するために、暖かい時期でも手袋を用意しておきましょう。
登山専用のグローブの中には、防水機能があるものや付けたままスマートフォンの操作ができるものもあります。

●登山の持ち物
・バックパック(リュック)
登山ではすべての荷物をバックパックかポケットに入れて、両手を自由に使えるようにしておくのが基本です。
バックパックには登山専用の頑丈なものもありますが、日帰りや短時間の登山 であれば普段使っているリュックで十分です。

・タオル/手ぬぐい
登山ではたくさんの汗をかくことになるので、タオルや手ぬぐいを多めに持っていきましょう。ケガをした場合など応急処置に使用することもあるので、持参は必須です。

・コースの地図
どんなに簡単なコースを歩くときでも、地図は必ず持っていきましょう。
登山中に道に迷い、遭難してしまっては大変です。
多機能なスマートフォンのアプリが便利ですが、電波や充電の関係で使えなくなった場合に備え、紙の地図も必ず用意しておいてください。

・ビニール袋
「汚れた着替えを入れる」「荷物を包んで防水対策をする」など、ビニール袋は多様な用途で活用することができます。
バックパックの中に入れてもかさばらないので、なるべく多く持って行きましょう。

・ストック
登山のときに使う杖のことで「トレッキングポール」とも呼ばれています。
ストックを使って登山をすれば、坂道でもバランスがとりやすくなり、膝への負担も軽減されます。

・ハイドレーション/水筒
登山中にはたくさんの水分を失うため、水分補給が欠かせません。
チューブの付いた「ハイドレーション」をバックパックに取り付けておくと、楽に水分補給を行えます。

・非常食
万が一遭難や孤立をしてしまったときに備え、非常食も用意しておきましょう。
非常食には調理が不要で保存が効く、ゼリー飲料やクッキーなどが向いています。

・救急セット/虫よけ
自分や仲間がケガをしてしまったときのことを考えて、絆創膏やテーピングテープ、消毒液などが入った救急セットを持って行きましょう。
また、虫よけの持参は必須です 。

登山に合った服装や必要な持ち物は季節や予想される天候によって変わります。臨機応変な対応を心掛けましょう。

初心者でも大丈夫!登山のノウハウ

登山のノウハウ
登山で大事なポイントは持ち物だけではありません。無理なく安全に登山するためのノウハウをご紹介します。

●初心者は「日帰り」からスタート
初心者にとって、泊まりがけの登山はハードルが高いもの。まずはその日のうちに家まで帰れる日帰り登山から始めましょう。
最初は標高1000m以下の低山から挑戦し、少しずつ体を慣れさせていくことが大事です。

●当日は経験者と一緒に
慣れるまでは経験者や熟練者と一緒に登山をしましょう。
周りに経験者がいない場合は、旅行会社が運営する登山ツアーや登山講習に参加したり、山岳会(登山家の団体)に入会するという方法もあります。

●コースの分析
「自分がこれから歩くコース」について事前に把握しておくことが大事です。

・所要時間の把握
登山用の地図には、その山を登るときにかかるコースタイム(所要時間)の目安が書いてあります。
ただしコースタイムには休憩時間が含まれていません。
実際はそれ以上の時間がかかることになります。

・難易度の把握
一見短くて簡単そうに見えるコースでも、「岩場の有無」や「森林の多さ」といった条件によって難易度が大きく変わります。
実は登山をするときに警戒すべきなのが「風」です。
もし汗や雨によって衣服が濡れた状態で強風にさらされると、「低体温症」になったり「疲労遭難」をしてしまう危険性があります。
特に尾根の多いコースでは全身に風をまともに受けることになりますので、難易度が高くなります。

・トイレの場所の把握
登山コース上にトイレはわずかしかないので、特に女性の登山者は注意が必要です。
登山口や山小屋など、コース中のどの場所にトイレがあるのかについては事前に把握しておきましょう。

●山の歩き方
・「平地歩行」「斜面歩行」を意識
平地を歩く場合と斜面を歩く場合で歩き方を変えると、足への負担が軽くなります。

平地の歩き方
体の重心が歩幅の中間点から垂直に延びるように意識し、かかとから着地するように歩きます。

登り坂の歩き方
重心を常に体重を乗せた側の足の上に置き、片足でしっかりと立つように意識して歩きます。

下り坂の歩き方
片足でしっかりと立つように意識しつつ、膝を痛めないように足を柔らかく曲げて踏み出します。

・歩行ペースを意識
最初から速いペースで歩くと、途中でバテてしまうおそれがあります。
登山を開始してから最初の30分くらいは、体を慣れさせるためにゆっくり歩くようにしましょう。
体が慣れてきたあとでも、息が切れない程度のペースで少しずつ歩くことが大事です。

・なるべく舗装されている道を選ぶ
同じ距離でも、舗装されている道とデコボコした道では、消耗する体力や安全性に大きな差があります。
なるべく、負担の少ない舗装されている道を選んで歩くようにしましょう。

登山初心者におすすめ!関東近郊の山

東京都内から日帰りで登ることができる、登山初心者におすすめの山を3つご紹介します。

●高尾山
高尾山は東京都八王子市にある山です。年間登山者数260万人を超え「世界一登山客の多い山」と言われています。都心からのアクセスがしやすいため、豊かな自然を手軽に満喫できる点が魅力です。道が整備されているだけでなく、ケーブルカーやリフトを使えば標高460メートル付近まで上がることができるため、体力面での不安が残る方にもぴったりです。

・標高:599m
・歩行距離:片道約3.8km(1号路)
・所要時間(目安):登り約1時間40分 
下り約1時間30分(1号路)
・住所:東京都八王子市高尾町
・アクセス:京王高尾線「高尾山口駅」から登山口まで徒歩約5分

●表丹沢(おもてたんざわ)
神奈川県の北西部に広がる「丹沢山地」の南側にあたる地域のことを「表丹沢」といいます。
表丹沢には「塔ノ岳」「三ノ塔」「大山」といったいくつもの山があり、秦野市、足柄上郡山北町、愛甲郡清川村の境目に位置する塔ノ岳の山頂からは、富士山を見渡すことができます。
傾斜が急になっているところが少なく、自分のペースでゆっくり登ることができるため、初心者の方にもおすすめです。

・標高:1490.9m(塔ノ岳)
・歩行距離:片道約7.2km(大倉登山口から塔ノ岳山頂を目指す「塔ノ岳コース」)
・所要時間(目安):登り約3時間10分
下り約2時間50分(塔ノ岳コース)
・住所:神奈川県秦野市・足柄上郡山北町・愛甲郡清川村
・アクセス:小田急小田原線「渋沢駅」から大倉登山口まで神奈川中央交通バスで約15分
・関連サイト:http://www.kankou-hadano.org/hadano_mountain/mountain_top.html

●御岳山(みたけさん)
東京都青梅市にある御岳山は、登山道が整備されていて途中に売店も多いため、初心者でも比較的簡単に登ることができます。
山頂近くにある推定樹齢1200年の「神代ケヤキ」や、国の重要文化財が奉納されている「武蔵御嶽神社」など、道中の見どころも豊富です。

・標高:929m
・歩行距離:片道1.2km(ケーブルカー利用時。御岳山駅から山頂まで)
・所要時間(目安):片道約30分(ケーブルカー利用時。御岳山駅から山頂まで)
・住所:東京都青梅市御岳
・アクセス:JR青梅線「御嶽駅」から御岳登山鉄道「滝本駅」まで西東京バスで約8分
      「滝本駅」から「御岳山駅」までケーブルカーで約6分

日帰りでも味わえる登山の達成感

いろいろなことに考えを巡らせ、自分と向き合う良い機会となる登山。日帰りでも十分楽しむことができます。これからチャレンジする人は、本日ご紹介した情報を参考に、持ち物や行き先を選んでみてください。