江戸の粋 神楽坂で楽しむ たいこもち

2016年12月13日

一度は経験したいけど敷居が高そうでなかなか踏み込めないお座敷遊び。
そんな大人の遊びを神楽坂で体験できる「江戸の粋 神楽坂で楽しむ たいこもち」ツアーをご紹介します。

神楽坂

かぐら坂 志満金

 

ツアーの舞台は情緒があふれる神楽坂、JR・東京メトロ南北線「飯田橋駅」からほど近くに看板を構える老舗鰻店「かぐら坂 志満金(かぐらざか しまきん)」さんです。
テーブル席からお座敷席まである店内は、1869年(明治2年)創業の歴史が醸し出す、趣と情緒があります。

うなぎ御膳
お部屋の入り口で受付をすまし、指定されたお席へ向かうと、まずはお料理が運ばれてきます。ふっくらと丁寧に仕上がられたうな重をメインに、いくつかの小鉢がついたランチを堪能します。
お食事が終わると、いよいよ日本に数人しかいない希少芸の継承者「悠玄亭玉八 (ゆうげんてい たまはち) 師匠」のお座敷の始まりです。
※鰻が苦手な方は事前のお問い合わせで天ぷらに変更可能です。

「たいこもち」とは

「たいこもち」という言葉を聞いたことがありますか?
辞書で調べてみると「太鼓持ち/幇間」と出てくる通り、正式名称は「幇間」といい、代々受け継がれている希少芸であり日本伝統の職業です。
この職業の正式な名称は「酒間幇助業(しゅかんほうじょぎょう)」といい、酒間の「間」と幇助の「幇」で「幇間(ほうかん)」と言います。読んで字のごとく、お酒の席で客と芸者の「間」を取り持ち、芸で間をつなぐ宴会の盛り上げ役です。お客様によって即興で芸の品目を決めるという、かなり機転が利かなければ務まらない職業です。
「たいこもち」という呼び名は俗称で、その由来は諸説ありますが、「太閤(豊臣秀吉)を持ち上げる」というところから転じ、「たいこもち」と呼ばれるようになりました。

師匠の紹介

悠玄亭玉八 (ゆうげんてい たまはち) 師匠
悠玄亭玉八師匠
師匠の登場ともに「まってました」の掛け声と拍手で会場が沸きます。
ご自身の紹介を交えながら徐々に世相漫談へと進んでいきます。
漫談は皆様がよく知る有名な方々の声色をまねてみたりと、様々な技が随所にちりばめられ、その軽快な語り口で早くも会場内は盛り上がりを見せます。

 

悠玄亭玉八師匠は昭和20年1月19日東京・八王子生まれ。
昭和42年(22歳)に新劇東京芸術座に所属し、テレビなどのメディアでも活躍されております。劇団を退団後は粋曲の柳家紫朝師に師事し、昭和54年(34歳)にお座敷芸の第一人者悠玄亭玉介師の一門となり、悠玄亭玉八の芸名を頂いたそうです。
現在は東京演芸協会へ所属し、昼は寄席、夜は花柳界という180度違う世界でご活躍なさっています。

 

師匠がお召しになっている羽織にはちょっとした秘密が。
着物についている紋は師匠のものではなく、その着物を作ってくれた旦那の「家の紋」や「会社のロゴ」などがかかれているそうです。
そのようなこともあり、お座敷に呼ばれた時は少々配慮が必要だとか。
以前、いつも通りある会社のロゴ入りの羽織を着てお座敷に出向いたところ、入り口でとても焦った様子の幹事に呼び止められたそうです。
実は玉八師匠の着ていた羽織のロゴは、その日参加していた企業のライバル会社だったそうで、入り口でさっと脱いでお座敷に参加なされたそうです。

 

そんな実話を交えた小話など洒脱で艶っぽいお話が続いていきます。

 

「幇間」はその性質上、多芸さが重要です。
今回のツアーでも次から次へと師匠の芸は多彩を極め、常に会場は沸いていました。
漫談から始まったお座敷は小唄(こうた)・端唄(はうた)・都々逸(どどいつ)・ふすま芸など次から次へと続いていきます。
三味線
三味線を自在に操り都々逸(どどいつ)を披露。
都々逸は三味線とともに歌われる俗曲(ぞっきょく)で、男女の恋愛の歌が多いそうです。さらに師匠が解説を交えお話ししてくれるので、初めて耳にする方でも楽しんでご覧いただけます。今も昔も変わらぬ男女の色恋話は年代を問わず笑いを誘うものです。
ふすま芸・屏風芸
ふすま芸・屏風芸(びょうぶげい)
これぞ名人芸。舞台に置かれたふすま・屏風(びょうぶ)を使った一人芝居なのですが、ふすまの先にあたかも人がいるように見えてきます。
声色やしぐさで男女の違いや幅広い年齢を演じ分け、その一人一人を生き生きとコミカルに表現し、一人芝居だと忘れるほど想像力を掻き立ててくれます。
繰り返し見ても面白い名人芸の数々に初めての方はもちろん、リピーターの方も涙を流しながら笑っていました。
名古屋甚句
名古屋甚句(なごやじんく)
この座敷唄は昔別れた2組の男女が再会するお話で、一番は「夫婦」、二番は「芸者と旦那」の様子が表現されています。男女のしぐさの違いや心のすれ違いなどが表現され、師匠の芸に全員が魅了されていきます。

大人の遊び

現在、幇間を仕事とする方は日本で5人のみ、そんな希少芸を堪能した時間のあとは、
玉八師匠と記念撮影をする機会があります。
悠玄亭玉八師匠
とても気さくな方で気軽にお声をかけてくれます。
普段はなかなか経験できないお座敷遊びと江戸より伝わる名人芸。
「大人の遊び」をぜひ一度ご体験し、お座敷デビューをしてください!