船のエレベーター(扇橋閘門)を体験!水の都・東京 5大運河探検貸切クルーズ

2016年12月13日

東京スカイツリーや日々変わり続ける東京の街並みをいつもとは違う目線で探検する「東京 5大運河探検貸切クルーズ」をご紹介します。

運河から楽しむ東京散歩

江戸時代に5街道の起点に定められ、経済・文化の中心を担った日本橋。
その歴史ある街は現在、再開発で日々変わり続けています。
地域のシンボル名橋「日本橋」からツアーはスタートします。
まずは、出発地「日本橋」についての歴史を聞きながら、橋のたもとにある「日本橋船着場」へ向かいます。
乗り込む船はオープンデッキ型。屋根がないぶん、水面や橋を間近に感じ、運河クルーズにはぴったりです。
いよいよ90分のクルーズがスタートします!

出発してすぐ、見上げる角度で首都高速道路や立ち並ぶ高層ビルを楽しめます。
江戸時代にできた運河が多く、江戸から現在へ歴史を追いながら船は進んでいきます。
橋くぐり

 

運河クルーズの醍醐味はなんといっても橋くぐり。
運行ルート内には低い橋も多く、迫力いっぱいの「橋くぐり」を堪能できます。

江戸の景色を感じながら

このツアーの見どころの一つは東京の今と昔。
江戸の頃より水の都と呼ばれ、網目のように運河や水路が張り巡る東京。
当時、水運は重要な輸送手段でした。5大運河の一つ「小名木川(おなぎがわ)」は徳川家康が行徳塩田(千葉県)から江戸へ塩を運ぶために開削した運河です。
このようなかつて栄えた運河をめぐり江戸の痕跡を感じながら船は進んでいきます。
茅場橋
「茅場橋(かやばばし)」
橋名の由来は、地名の茅場町(かやばちょう)から名付けられました。
今では想像がつきませんが、さかのぼること江戸時代、屋根の構造の一つである茅葺屋根に用いる茅(かや)が生い茂っていたところから、茅場(かやば)という地名がまず付き、その後、茅を取り扱う問屋が立ち並び市街を開いたので、茅場町の名が生まれました。

霊岸橋
霊岸橋(れいがんばし)
全長が1キロメートルと短い支流「亀島川(かめじまがわ)」に架かる橋の一つです。
橋名の由来は、この地区を「霊岸島(れいがんじま)」と呼んだことに由来しています。
かつて「霊岸島」は「亀島川」「日本橋川」「隅田川」に囲まれ、お酒の問屋が立ち並ぶ島でした。
現在、橋を潜り抜けた先は左右石段となっており、かつての船着場の名残が見えます。
江戸時代、お酒は京都など西側で生産していました。
当時の運搬方法はもちろん船。たくさんの酒樽を積み込む船は大きなものでした。
「隅田川」までやってきた船は川幅の狭い「亀島川」へ入ることができないため、この船着場から小舟を出して酒樽を積み下ろしていました。

お酒を運搬していた船もこのツアーで見ることができます。
霊岸橋
「霊岸橋」の次に現れる「新亀島橋(しんかめじまばし)」の欄干には帆を張った船のレリーフがあります。
レリーフには「大川を上る廻船」と書いてあり、文字やレリーフの絵柄は船の上からでも目を凝らすとご覧いただけます。
大川というのは「隅田川」のこと。当時は大きな川=大川と呼ばれていました。

船上ならではの景色

隅田川とセーヌ川の友好の証「メッセンジャー」
メッセンジャー
中央大橋(ちゅうおうおおはし)のちょうど中ほどに、橋を渡る人に背を向けて川を見つめている珍しいモニュメント(銅像)があります。
「メッセンジャー」という名のこのモニュメントはフランスのセーヌ川と隅田川の友好河川の記念として贈られたものです。
このツアーでは普段見ることのできない銅像の顔を見ることができます。

人気のビュースポット「東京スカイツリー」

東京スカイツリー
「小名木川」と「大横川(おおよこがわ)」が交差する地点で船はいったん「小名木川」を離れ「大横川」へ寄り道をします。
ここは東京スカイツリーのビュースポットとして人気の場所です。
まっすぐ伸びる「大横川」の先にそびえ立つ、全長634m東京スカイツリーの姿は必見です。
清洲橋とスカイツリー

 

「清洲橋(きよすばし)」と東京スカイツリー
隅田川に架かる「清洲橋」は夜になるとライトアップされます。
「清洲橋」のちょうど中ほどにある東京スカイツリーもライトアップ(キャンドルツリー)され、とても幻想的な光景です。
「清洲橋」は「永代橋(えいたいばし)」とともに1923年(大正12年)に起きた関東大震災復興事業として建設されました。
「震災復興の華」と呼ばれるその優美な橋は、ドイツケルン市にあるヒンデンブルグ橋をモデルにしたとされています。
重要文化財に指定されている「清洲橋」と東京スカイツリーを一同に眺められる、人気の高いビュースポットです。

東京の“ミニパナマ運河”「扇橋閘門(おうぎばしこうもん)」

「隅田川」から「小名木川」へ入りしばらく進むと、大きな赤い水門が現れます。こちらがこのツアー最大の見どころ、船のエレベーター「扇橋閘門」です。
扇橋閘門
「扇橋閘門」は「小名木川」のほぼ中心に位置し、水位が異なる運河を通航可能にしたこの”ミニパナマ運河”と言える施設は、2つ水門で区切られた閘門(こうしつ)の水位を上下させることによって船の通航を可能にしています。

扇橋閘門
閘門の中に船が侵入すると、まず安全のためにロープで船を壁に固定します。
その間に水門がゆっくりと降りていき、いよいよ水位の調整が始まります。
扇橋閘門
扇橋閘門の紹介アナウンスとともに、水を排出する音が聞こえてきます。直接外に排出される様子を見ることはできませんが、体感として水位が下がっていくのを感じ取ることができます。
扇橋閘門
それもそのはず、7分間に約2メートル(満潮時には約3メートル)も一気に水位が変わっているからです。
後扉の先に広がる海抜ゼロメートル地点まで水位が下がると、ゆっくりと扉が開いていきます。
水位の調整の間、閘門の中に配置されている水位計をご覧になっていただくと、より体感していただくことができるのでお勧めです。

再び日本橋へ

出発地点「日本橋(にほんばし)」を潜り抜けてツアーは終了です。
「日本橋」が誕生したのは1603年、当時は木造の橋でした。
日本橋
幾度となく架け替えられ、現在の19代目「日本橋」は西洋の文化が広がり始めた文明開化の時、明治44年に開橋しました。
和洋折衷のデザインが当時の時代背景を感じさせてくれます。

開橋から100年以上経過している「日本橋」を潜り抜ける際に注目していただきたいのは、橋の「上部」と「裏」に残る焦げ跡です。
上部の焦げ跡は東京大空襲の際についた焼夷弾の跡です。
そしてなかなか見ることのできない橋の裏側にある焦げ跡は関東大震災でついたものです。震災時に船が「日本橋」欄干へと逃げ込み、焦げ跡があった場所で火災にあってしまった痕跡が今も残されています。

このような数々の傷痕などは修復することも可能ですが、日本橋の歴史として後世に残していきたいという想いで、修復せずに現在もそのままの形で残しているそうです。

日本橋

 

「日本橋」には「橋(8×4)」にちなんで、32個の獅子像が各所に配置されています。
獅子像のほかにも作家東野圭吾さん原作の映画「麒麟の翼」に登場する麒麟像も配置されています。歴史の痕跡とあわせて、船の上、橋の上、双方から「日本橋」を見比べてみるのもおすすめです。

水の都「東京」満喫クルーズ

「水の都・東京 5大運河探検貸切クルーズ」は通年開催しています。
春は川沿いの桜を眺め、夏は川風を感じ、四季折々の景色をゆったりと満喫できるのが船旅の醍醐味です。日々刻々と変わりゆく「東京」と歴史ある「江戸」を体感しにぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。